RESONANCE ~共鳴 (2011年1月)

コロンビア大学ビジネススクール教授で「選択の科学」の著者シーナ・アイエンガーが、大学院生時代に行った「ジャム研究」は、選択をめぐる消費者の心理と行動について、一石を投じたことで知られている。

高級食品店の試食コーナーに24種類のジャムを色とりどりに並べた時と、6種類のジャムを並べた時、売り上げは品揃えが少ない方が圧倒的に多かったというのだ。選択肢が多すぎると迷いが生じ、また少なすぎても不満が生じるので、6つ前後での選択肢が一番望ましいという結果になった。

さらに興味深い実験が紹介されている。ビーカーにたっぷり水を入れ、そこにラットを入れ泳がせ続ける。
すると、ほとんどのラットは数分で溺れてしまうのだが、ほんのわずかの個体が60時間近く泳ぎ続ける。
この違いはどうして起こるのかを調べるために、今度は溺れかかるたびに何度か助けると、助かった経験のあるラットは全てが60時間泳ぎ続けたという。

つまり、助かるかもしれないという認識を持っていた個体だけが、限界まで能力を発揮したのである。
この実験結果は、無自覚に「もうダメ」と考えてしまうか、意識的に「まだ大丈夫」と選択するかで、結果(未来)が大きく変わってしまうことを示している。