RESONANCE ~共鳴 (2013年5月)

商品というものの成り立ちとその本質を『アースダイバー』のなかで人類学者の中沢新一氏は次のように語っている。

その昔商品は市場に集められた。市場はもともと教会の近くや寺社の近くに開かれた。つまり神仏の庭が市場だったのである。その庭に入った物はいったん元の所有者から自由になって、(だれのものでもない神仏の持ち物になって、)初めて自由に売り買いのできる商品に変身できる。商品はもともと少し現実離れしたところがなければならない。ちょっと現実離れしたところがあってはじめて、人々の無意識に触れる魅力的な商品が生まれる。こういった考え方は商品というものがこの世に出現した、ごく初期のころからあった。やがて貨幣が物と物との取引に代わってさらにこの傾向はさらに顕著になった。

アベノミクスで始めに売れだした商品は、牛丼やハンバーガーのようなファストフードや、人々が日々使う日用必需品ではなく、宝石や貴金属、ブランド品や高級品などである。牛丼などはむしろ以前より安くなってしまった。つまり、景気がよくなったと感じると、人々がまず購入したがるのは、日々の生活必需品ではなくて、むしろ日常ではほとんど必要としない高級品だったりするのは、日常から離れれば離れるほど、商品は高級になり、価格が高くなり、人々の無意識の欲望に触れる商品になるということを意味している。